太宰治『ヴィヨンの妻』

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注意事項

・いわゆるネタバレを含みます。

・あらすじは作品の一部を運営者が独断で切り抜き、纏めたものです。

・作中で設定などが明らかになる順序が前後している場合があります。

・あらすじによって作品を理解することや、その面白さを判断することはできません。ぜひ作品自体を手に取ってみてください。

 

以上のことご了承の上お読みください。

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あらすじ(約1,000字)

 ある晩、夫があわただしく帰宅し、何かを探して引き出しをかき回す音で、彼女の妻は目を覚ました。詩人である夫――大谷は連日飲み歩いて家に帰らないことも多く、彼の家庭は四歳の息子が医者にかかれないほどに貧乏だった。そこに男女二人の客が訪問し、泥棒と称して大谷に詰め寄るが、大谷は先ほど探し当てたナイフをかざして、その場から逃げ去り、残された妻は二人の客に話しを聞いた。

 二人の客は料理屋を営む夫婦であり、三年前からその店に大谷が通っているという。初めは女給と来店し、女に勘定を払わせて帰った大谷だったが、その後一人で来店し、「また来るので、取っておいてくれ」と亭主に金を握らせると、それ以降金を払うことが無くなった。良家出身の天才詩人として通っている大谷は女に人気があり、酔っても騒がないので、勘定を払えばいい客であったが、次第に横暴になっていき、遂にはその晩、彼は夫婦が年末年始に供えて集めた金を奪い取って逃亡。その後を追ってきて現在に至るのだった。

 大谷の妻は明日までに金を返すと約束し、二人を帰した。翌日、彼女は金を用意できなかったが、息子を連れて二人の店に足を運び、「金を持ってきてくれる人がいる」と嘘を吐き、自分が人質になると店の手伝いを始めた。九時過ぎごろに変装をした夫が女連れで来店すると、彼女はそれを全く予期していなかったが、はじめから見越していたふりをして店の亭主に報告。亭主が夫を連れて出ていったのを目にして、万事解決したのだと安心した。  その後、盗難した金は大谷が親身にしているバーのマダムに立て替えもらい返却し、未払いの勘定は大谷の妻が店で働いて返すことになった。彼女にとって店で働くのは楽しく、頻繁に来店する夫との時間も増え、彼女は大谷に幸福だと伝えるが、大谷はそれに対し、「男には不幸しかなく、常に恐怖と戦っている」「死ぬことばかり考えているのに、怖い神様がそれを引き留めるのだ」などと語った。

 彼女は店で働く中、夫以外の他の客も皆あくどいことをしていると気づく。ある雨の夜、彼女は男性客の傘に入れられて家まで送られた。男はすぐに家を後にしたが、深夜に酔った姿でもう一度現れ、家に泊まって彼女を犯した。  あくる日も彼女がいつも通り店出ると、そこには夫がいた。夫が自分は人非人などではなく、金を盗んだことも妻と息子のためだった語るのに対して、彼女は「人非人でも、生きていさえすればいい」との旨を伝えた。

おわりに

今回は省略しましたが、

・大谷の出身とそれに惹かれる女たち、

・白痴である四歳の息子、

・「フランソワ・ヴィヨン」という夫の論文の広告とそれを見て涙する妻、 など、

他にも重要な場面や描写が無数にあります。 また、このあらすじでは作者の巧みな文章表現を楽しむことはできません。 (あらすじはあくまでサイト運営者が個人で書いたものであり、作品の持ち味や面白さを表現することは出来ていません) ぜひ作品自体を読んでみてください。

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