日本文学

武者小路実篤『愛と死』

(約800字)作家である村岡は懇意にしている作家仲間の野々村の家を訪れた際、庭でお転婆に遊んでいた野々村の妹——夏子と知り合うことになる。後日、野々村の誕生会で村岡は余興を強制されるが何もできないでいた。そこに夏子が現れて彼の代わりに宙返りを披…

武者小路実篤『友情』

(約1,200字)脚本家の野島は友人の仲田に誘われた劇場にて、仲田の妹である杉子と顔を合わせると、まだ十六でありながらも完成した杉子の美しさに惹かれ、以降杉子目当てで仲田の家へ通い始める。彼は友人で作家の大宮に杉子への恋心を明かして恋路を応援し…

太宰治『人間失格』

(約3,000字)裕福な家に生まれた葉蔵は、生まれつき人間の生活というものがわからず、他人を恐れ、道化を演じるという手段で他人と関わっていた。しかし彼は自分の本心はその真逆だと感じており、他人の嘘や人に打ち明けられない様々な悩みに震えていた。

太宰治『桜桃』

(約800字)小説家の‘私’には七歳の長女、四歳の長男、一歳の次女と三人の子供がいるが、「子供より親が大事」と思いたいものの、家庭内では子どもよりも父母の方が弱く、子供のご機嫌ばかり覗っていた。

太宰治『ヴィヨンの妻』

(約1,000字)ある晩、夫があわただしく帰宅し、何かを探して引き出しをかき回す音で、彼女の妻は目を覚ました。詩人である夫――大谷は連日飲み歩いて家に帰らないことも多く、彼の家庭は四歳の息子が医者にかかれないほどに貧乏だった。そこに男女二人の客が…

太宰治『ダス・ゲマイネ』

(約1,000字)大学生の佐野次郎(あだ名)はとある遊郭の女に恋をしており、金がないときにはその女によく似たお菊という少女に会うため、彼女の働く甘酒屋に入り浸っていた。彼はそこで奇妙な身なりをした音大生の馬場という男に出会う。 何度か顔を合わせる…