太宰治『桜桃』

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 注意事項

・いわゆるネタバレを含みます。

・あらすじは作品の一部を運営者が独断で切り抜き、纏めたものです。

・作中で設定などが明らかになる順序が前後している場合があります。

・あらすじによって作品を理解することや、その面白さを判断することはできません。ぜひ作品自体を手に取ってみてください。

 

以上のことご了承の上お読みください。

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あらすじ(約800字)

 小説家の‘私’には七歳の長女、四歳の長男、一歳の次女と三人の子供がいるが、「子供より親が大事」と思いたいものの、家庭内では子どもよりも父母の方が弱く、子供のご機嫌ばかり覗っていた。

 夏の日の夕食中、妻は次女におっぱいを飲ませながら、お父さんと長女、長男の給仕やら忙しくする。私が妻に対して、「一番汗をかくのはどこか?」という質問をすると、彼女は「この、お乳とお乳のあいだに、……涙の谷、……」と答え、それを聞いて私は黙る。

 

 真面目で興ざめな、気まずい事に耐えられない私は、人に接するときにいつも冗談を言っている。二人は喧嘩のない夫婦だが、それは互いの苦痛を知っているのに触らないように努めて、父が冗談を言えば母も笑うという状態だった。

「涙の谷」という言葉に黙ってしまったせいで、その場は気まずくなり、私は真面目な顔で、子供の面倒を見る人を雇えばいいのにと提言する。私は家事が全くできず、仕事も一日に二三枚しか書けず、酒を飲み、あちこちに若い女の友達がいた。

 

 長女と次女は人並みに育っているが、四歳の長男は痩せこけていてまだ立てず、言葉を理解することも話すこともできないうえに、排泄も自分で出来ない白痴だったが、夫婦ともにそれには触れず、私は時折長男を抱いて入水してしまいたいと感じていた。  

 話し合いの中で、妻の「私が人を雇うのが下手だとおっしゃるのですか」という発言で私はまた黙ってしまう。

 食事の後、私が仕事用に借りている別の部屋に行きたいと伝えると、妻は重体である自分の妹のもとへ行きたいと言うが、その場合は私が子供の面倒を見なければならない。私はやはり人を雇うようにと言いかけてやめ、生きるのは大変だと実感しながら、黙って外へ出る。

 

 仕事にはいかず、酒を飲みに行った場所で桜桃が出される。私の子供は桜桃など食べたこともなく、持って帰ったら喜ぶだろうと思いながらも、私はそれを自分一人で不味そうに食べて、心の中では「子供よりも親が大事」とつぶやいていた。

 

おわりに

今回は省略しましたが他にも重要な場面や描写が無数にあります。

また、このあらすじでは作者の巧みな文章表現を楽しむことはできません。 (あらすじはあくまでサイト運営者が個人で書いたものであり、作品の持ち味や面白さを表現することは出来ていません) ぜひ作品自体を読んでみてください。

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