武者小路実篤『友情』

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 注意事項

・いわゆるネタバレを含みます。

・あらすじは作品の一部を運営者が独断で切り抜き、纏めたものです。

・作中で設定などが明らかになる順序が前後している場合があります。

・あらすじによって作品を理解することや、その面白さを判断することはできません。ぜひ作品自体を手に取ってみてください。

 

以上のことご了承の上お読みください。

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あらすじ(約1,200字)

 脚本家の野島は友人の仲田に誘われた劇場にて、仲田の妹である杉子と顔を合わせると、まだ十六でありながらも完成した杉子の美しさに惹かれ、以降杉子目当てで仲田の家へ通い始める。彼は友人で作家の大宮に杉子への恋心を明かして恋路を応援してもらい、杉子の自慢話を繰り返した。また、大宮の従姉であり、杉子の友人である武子から、彼女の様子を教えてもらう。

 

 そんな中、野島は仲田から杉子に言い寄る男への苦情を聞かされ、自分のことを見咎められたように感じてしばらく距離を置いたが、久々に彼の家に足を運ぶと杉子も含めた三人でピンポンをする運びになった。杉子との遊戯を楽しむ中、そこに仲田の同級生の早川が来宅する。仲田の家族に気に入られながらも、杉子とは互いに無頓着と見える早川に野島は安堵するが、しかし水を差されたような気がしてその場を去った。

 

 夏休み、仲田は鎌倉の別荘に杉子と出かけた。大宮の別荘もちょうど鎌倉にあり、野島も大宮とともに鎌倉に滞在し、二人は友好をさらに強めた。野島は大宮に仲田を紹介するが、大宮は仲田の所に行くのには乗り気でなく、ある晩、野島と大宮は仲田や杉子たちに散歩に誘われるが、彼はそれを辞退。野島もそれに倣って辞退した。

 

 後日、武子や早川も鎌倉へ姿を見せた。ある時、神の有無についての議論で、野島は神を信じていない早川や杉子と軽い言い合いになり、自身と思想を共有できない杉子に対して、少々思い煩い、同時に杉子が早川に取られるのではないかと焦燥にかられた。ある晩、大宮のもとに杉子が訪ねてくる。野島は大宮から「杉子はまだ早川の方に転がってはいない」と勇気づけられ、一緒にトランプをすることになった。遊戯の中で杉子は顔を赤らめ、どこか落ち着かない様子であり、野島は彼女が大宮に恋をしているという懸念を抱く。

 

 数日後、野島が風邪をひくと、看病に来た大宮は彼に対して唐突に西洋に行くことを告げる。それを聞いた野島は杉子と彼が距離を置くことを喜ぶ一方で、親友に会えなくなる寂しさも感じた。

 

 東京に帰り、大宮が西洋へ出発する見送りの場で、野島は杉子が大宮を愛していることに気づかされる。それでも彼は杉子に求婚するが、仲田からも本人からも断られてしまった。その後、杉子が大宮のもとへ行くという噂を耳にすると同時に、大宮からとある同人誌を読むようにとの手紙を受け取る。

 

 そこには杉子と大宮のやり取りした手紙の内容が載せられており、その中で杉子は大宮に自分の想いを告白していた。大宮は野島の手前その想いを受け取れないこと、杉子の好意に気付いて西洋へ逃げたこと、そして野島がいかに素晴らしい人物かを説いていたが、杉子は「野島のことを尊敬こそすれど、愛すことは無い」と想いを訴え続け、最終的に大宮は友情を裏切り、彼女との婚約を決めていた。

 

 それを読んだ野島は、この失恋を糧に創作に精を出し、いつか大宮と芸術家として手を取ることを思い浮かべながらも、失恋の悲しみに泣き、神に助けを乞うのだった。

 

おわりに

今回は省略しましたが、

・村岡という脚本家について、

・大宮と野島の文壇での評価、

・杉子に媚びるようなピンポン大会で空気を変えてみせた大宮、

・鎌倉から東京へ帰る電車内、 など

他にも重要な場面や描写が無数にあります。 また、このあらすじでは作者の巧みな文章表現を楽しむことはできません。 (あらすじはあくまでサイト運営者が個人で書いたものであり、作品の持ち味や面白さを表現することは出来ていません) ぜひ作品自体を読んでみてください。

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